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適応力を不登校の子どもに身につける

不登校のお子さんを持つ親御さんの話をうかがっていると、学校や社会に出られなくても、塾や習い事、単発のボランティアなどに出かけることや、友だちと遊ぶことができる不登校生が少なくないという印象を受けます。


そういう本人に対して、親御さんは、「そういう力があるのに学校に適応できないのは逃げているから」、「自分の好きな場にしか参加できないわがままな子ども」と評価することがしばしばあります。


しかし、子どもが自分で選んだ場には参加できることを否定してはいけません。

むしろ、そこで育まれる適応力が、学校への復帰に役に立つのです。

キャンプとボランティアで適応力を身につけた不登校生

ゆーくろっくが支援したMくんは、高校2年生で約1年不登校でした。

高校入学後、友人づくりなどの新しい環境への適応がうまくいかずに不登校になったのですが、我々の訪問支援を受けて、精神的な落ち着きを取り戻し、勉強も順調に進めていました。ただ、学校に行く事への抵抗感はなかなか消えませんでした


そんな中、お父さんの知り合いが子どもキャンプを開くという事で、そのボランティアに行くことになりました。


元々学校以外の場所に行く事には抵抗がなかったので、本人もすんなり了承しました。


そのキャンプは中学生から大学生までのボランティアが、キャンプに参加した小学生をサポートするというシステムでした。キャンプでは、不登校かどうかは関係ないし誰にもわからないので、ほかのボランティアと同等に扱ってもらうことができました。


そこで、初対面の人と関係を築くことに対する慣れや、人とつながりを作ることに対する自信を得ることができました。また、与えられた役割を果たしたことも自信につながりました。


最後には仲良くなったボランティアメンバーに不登校を打ち明け、それでも変わらぬ態度で接してもらえたことで、自分は大丈夫なんだと思えるようになりました。

自律と他律は正反対だがつながっている

学校は適応するのが当たり前とされる場所です。決められた授業を受け、決められたクラスで人間関係を作らなければいけません。一方、塾や習い事、先述したようなボランティア活動は、必要に応じて通えばよく、気の合う人とだけ友だちになれる場です。


このようにみると、前者は他律的な場で、後者は自律的な場です。一見すると、両者は正反対の世界です。


ただ、何も関係がないわけではありません。むしろ、コミュニケーション能力・一定のルールを守ること・役割を果たすことなど、求められることは共通するものも多いのです。


もちろん、他律的な場の方が自由が利かず、プレッシャーや嫌なことも多いでしょう。だからこそ、自律的な場で磨ける適応力を育み、自分に対する自信を養うことは、学校に行くための準備になるのです。

最後に

学校ではなく自分自身に合った場所を選んだり、勉強ではなく自分の好きな活動をし、その中で経験を積んで自信と能力を育むことは、必ず学校やそれ以外の他律的な世界で生きてくるはずです。


「まず学校に行ってほしい」、「まず勉強をしてほしい」 - その気持ちはよくわかりますが、まずは子どもが好きな世界で成長する事を応援してあげてください。


それが学校に行く近道です。