これまで、不登校の子どもへの接し方や声かけについていくつか紹介してきました。
しかし、本人が親からの関わりを拒絶すれば、何かの働きかけを行うきっかけ探しや切り出すタイミングの発見が困難になります。実際、「どのタイミングで何の話を切り出したらいいかわからない」、「いつも決まり文句がかえってきて堂々めぐりになるだけ」、「これをやったらどう思われるかを考えると何もできなくなる」といった声をよく聞きます。
不登校の子どもへの働きかけのタイミングは、一体いつがよいのでしょうか。
毎日一緒に暮らしている親の肌感覚が一番大事
人間関係において、人はその場その場で相手と波長を合わせ、発言や行動もその都度瞬時に判断して行っています。家庭生活も子育ても、その例外ではありません。
では、その「瞬時の判断」の材料となっているのは何でしょうか。
それは、科学的な理論や知識ではなく、相手の表情や、相手と自分との間に漂っている「空気」ではないでしょうか。
特に家族(親子)関係には、他者には把握しきれないほどの深遠な歴史・経緯があります。その歴史・経緯に培われてきた「親子関係」というものは、唯一無二の関係であり、第三者にはわからない親子独自の「空気」が生まれます。
そういった、「オーラ」や「雰囲気」といったような空気をお互いに読み取ることができるのは、本人たちだけなのです。
だから、不登校かどうかに限らず、子どもに何か働きかけを行う場合は、まずは自分自身の心を落ち着けた上で、親である自分の肌感覚を一番大事にしてほしいのです。
先生、お医者さん、カウンセラーの意見はあくまで参考程度に
このような「生活の歴史」に培われてきた親子関係に比べると、先生やお医者さんやカウンセラーの子どもへの理解など浅いものです。親御さんからの相談を通じてイメージしている、間接的な理解である場合も多いです。
もちろん、専門家に相談すれば教科書的な意見や指示はかえってきます。我々はそうならないように、教科書的な意見ではなく、親御さんからのお話と豊富な経験を踏まえてお子さまに最適な対応を検討します。
ただ、毎日同じ心理状態なはずがなく、「ある日は言っていいけど、ある日には言ってはいけないこと」なんていくらでもあり ます。
目の前のわが子の表情、発しているオーラ、自分との間に漂っている空気、これらが何よりもコミュニケーションの判断材料です。
最後に
不登校の時の子どもへの働きかけで一番大事なのは、失敗を怖がりすぎないことです。
ダメだった働きかけはやめればよく、良い感触を得た働きかけを残し、そうやって自分の子どもに適した対応のレパートリーを増やすことが何より大切です。
お子さんにとってありがたい対応を周囲が積み重ねていけば、必ず回復する日がきます。