分離不安タイプの不登校の特徴と対応
分離不安タイプの不登校とは、お母さんから離れることがどうしても不安で学校に行きたがらないタイプを意味します。小学校の低学年に多く、学年が上がるにつれて少なくなっていきます。また、母子家庭や共働きの家庭の子どもに多く見られます。
特徴としては、お母さんと一緒でないと学校に行けない、お母さんがそばにいれば友だちと遊んだり勉強したりできる、お母さんの足にしがみついたりして気を引こうとする、学校とお母さんの職場が近いと学校を抜け出して職場に来る、といったことが挙げられます。
分離不安タイプの不登校対応において大事なこと
お子さんが安心できるように、柔軟にできる限りの対応をしていくことが何よりも重要です。
お母さんがお仕事をされている場合は限界がありますが、一緒に登校する、迎えに行く家にいるときはなるべく甘えさせてあげる、週の中日は休む、不安な時は保健室登校できるように学校側や保健の先生と連携をとる、といったことが重要です。
本当に甘えさせて大丈夫なのかと不安になるかもしれませんが、大丈夫です。お子さんが幼児だった頃を思い出してください。
幼い子どもは抱っこを求めますが、どんなに甘えん坊でもずっと抱っこしてほしいわけではなく、満足すると降りて歩きたがります。
もちろん、またすぐに抱っこしてと寄ってきますが、月日を重ねるにつれて、抱っこの時間と頻度は短くなっていきます
幼児にとって、お母さんの抱っこが基地で自分で歩くのが冒険だとしたら、児童にとっては、お母さんと一緒にいるのが基地で学校に行くのが冒険なのです。
しっかり基地で休ませてあげたら冒険に自分から行きますし、少しずつ冒険の時間が長くなって最後は離れていくのが子どもです。
分離不安タイプの逃避期 - 特徴と対応 -
特徴 お母さんと一緒でないと学校に行けなくなる
「友だちがいない」「先生が怖い」といった理由を並べて登校したがらなくなり、お母さんと一緒でないと学校に行けなくなります。
学校ではささいなことで泣き出したり、家では着替えや就寝などの今まで一人でできていたことができなくなることがあります。友達の家などには行きたがらず、家で遊ぶことが多くなりますが、お母さんが一緒ならばどこでも大丈夫です。
対応 甘えさせて子どもの気持ちを安定させよう
お子さんの気持ちを安定させるために、お母さんが一緒に遊んだり、スキンシップを多くしたりすることが大切です。お子さんに不安な様子が見られたら、ギュッてしてあげたり話を聞いてあげるなどの母親的対応をどんどんしていきましょう。
学校に行くのを嫌がるようになったら、可能な限り、お子さんと一緒に学校に行くことや保健室登校を認めるなどの対応をしてあげましょう。
また、学校の先生と綿密に連携をとり、お子さんの状況と対応について共通の認識をもつことを大事にしてください。。
分離不安タイプの苦悶期 - 特徴と対応 -
特徴 お母さんと片時も離れられず、不登校になる
朝になってもずっとパジャマのままでぐずぐずし、お母さんが一緒に登校しようとしても、泣いたり部屋に閉じこもったりして強い抵抗を示します。お母さんのそばを片時も離れなくなったり、赤ちゃん返りのような状態になったりします。
また、兄弟がいる場合は、お母さんをできる限り独り占めしようとします。
お母さんが片時も離れないお子さんとの生活で疲れてしまったり、ほかの子どもに比べて成長が遅れているように見えるので子育てに自信を持てなくなってしまうことが多くあります。
対応 お母さんも自分の支えを得ながら、子どもの対応をしよう
引き続きお子さんの気持ちの安定を目指すべきですが、そのためにもお母さんが心の支えを上手く自分に用意してください。
片時も離れない子どもに疲れている自分の気持ちを旦那さんや親御さんに理解してもらい、どんどん助けてもらうように心がけてください。また気兼ねなく話せる友だちに愚痴を聞いてもらうことや、趣味を大事にすることも重要です。
お子さんが強く登校を拒否する場合は、休ませてあげるほうがよいです。
先生が家庭訪問にきた時は、お母さんが加わって、一緒に遊んだりして、リラックスして触れ合える場面を作りましょう。また、できれば先生には、家庭訪問の際、友人を連れてくるなどして、友人関係を途切れさせないように配慮してもらいましょう。
分離不安タイプの休息期 - 特徴と対応 -
特徴 少しずつお母さんから離れられるようになる
まだまだ一人で学校に行くことを嫌がり、お母さんと一緒に行けたとしても保健室登校のような形式が多くなりますが、家のお手伝いや短い時間の留守番などであれば一人でできるようになります。
放課後に友達が家に遊びにきても嫌がらず、楽しく遊ぶようになります。行動できる範囲が少しずつ広がっていきます。
家庭訪問にきた先生にも自分から会うことができ、学校のことを話題にしたり、遊んだりすることができるようになります。
対応 子どもが先生といると安心できるようにしよう
お母さんレベルにまではいかなくても、先生に安心感が持てるようになればなるほど、子どもとしては学校に行きやすくなります。先生にはできれば定期的に家庭訪問にきてもらい、お子さんと一緒に遊んでもらうなどの交流を多く図ってもらいましょう。
家の手伝いなど、お子さんをほめて自信を育てることのできる機会を多く持ちましょう。また、遊び場所を家の周りから近くの公園などへ範囲を徐々に広げていき、家やお母さんから離れる力を少しずつ養うことも大事です。
お母さんからは少しずつ離れて一人でできることが増える時期ではありますが、急ぎすぎると子どもが不安になります。一緒に家にいるときは、お子さんの気持ちに沿ったスキンシップを継続的に大切にしてください。
分離不安タイプの逃避期 - 特徴と対応 -
特徴 お母さんから離れられるようになり、不登校を克服する
家の中ではお母さんから離れ、一人で遊ぶ時間が増えてきます。お母さんがいなくても、仲のよい友だちとならばと外でも元気に遊ぶようになります。
登校に引き続きお母さんを必要としつつも、教室まで送っていくのが校門までになり、校門まで送っていたのが通学路の途中までという風に、距離が短くなっていきます。保健室登校から、少しずつ教室でみんなと同じように過ごせる時間が増えていきます。
対応 特別配慮を得ながら、少しずつ登校にチャレンジする
お子さんの様子を見ながら、放課後の登校や保健室登校、お母さんと一緒の登校などを提案しお子さんの希望を受け入れましょう。ただし、登校する時間や帰る時間をお子さんや保護者と相談し、お子さんの負担にならないようにしましょう。
少しでも進歩が見られたらいっぱいほめてあげること、前日にできたことが翌日にできなくても受け入れてあげることを、忘れないでください。3歩進んで2歩下がりながら、回復していきます。
しばらくは母親と一緒に登校することを先生方に伝え、母子への対応について理解してもらいましょう
不登校支援機関 特集
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