子どもが不登校になると、親として子どもと外部のつながりに対してどのように対応すべきかということについて、多くの親御さまが一度は悩まれます。「友だちが来てくれるけどどうすべきか」「先生の家庭訪問はどう活用したらよいか」「学校の行事にのことは子どもに話をしないほうがよいか」 -こうした問題が浮上します。
今日は、不登校生と友だち・先生・学校とのつながりにおける不登校時の対応について説明します。
不登校の時に友だちとどう関わるか?
不登校でも友だちと関わりを保っている子どもはもちろんいます。塾や習い事には通い続けていてそこでの友だちがいたり、クラスや部活の人間関係とは別の幼なじみがいる場合には、彼らと楽しく過ごせます。
しかし、部活のトラブルで行けなくなった子どものところに部員が大勢で誘いに来るような、「学校」を意識させられるかかわりには、プレッシャーを感じて辛くなってしまうでしょう。
先生に言われて、友だちがプリントを届けてくれたり行事に誘ってくれたりすることもありますが、それが自発的な思いかどうかに不登校生は敏感です。そういった過敏な状態のせいで、卑屈になったり変な勘違いをすることもあります。
友だちが帰った後におだやかであれば、来てくれることを歓迎するのがよいです。反対に、友だちが帰った後に不安定になるようであれば、友だちには来るのを遠慮してもらったり、親が学校にプリントをもらいに行くなどの対応をしたほうがよいでしょう。
そんな時は、まず家族との関係を大切にしましょう。そして、信頼できる人との関係をゆっくり作っていくのがよいです。
不登校の時に先生とどう関わるか?
親としては、子どもが不登校の時に家庭訪問して頂くと安心ですが、子どもにとっては先生と会うのがしんどい場合もあります。子どもが嫌がる場合は、親だけで対応して不登校中の子どもの様子を伝えましょう。また、先生から子どもを思いやる言葉があれば、子どもに伝えるとよいと思います。
困るのは、先生の前では落ち着いて応対しているものの、先生が帰った後に、怒って暴れたり落ち込んで部屋にこもったりする場合です。こういう場合は、しばらく家庭訪問を見合わせてもらうのがよいでしょう。
また、先生に来る前に、「学校の話をすると不安定になるので、先生が気にかけてくださっていることだけ伝えていただくとありがたいです」と、事前に伝えるとよいと思います。好きなテレビ番組やゲームなどの子どもが関心のあることも事前に先生伝えておくと、先生も子どもを話の中で楽しませやすいと思います。
不登校の時に学校とどう関わるか?
修学旅行、体育祭、文化祭などの行事について
行事については、本人の希望に任せればよいと思います。というのも、中学生以上になると不登校の原因を親に言わない場合も多いのですが、いじめや人間関係のトラブルによって不登校になっていると、行事は班分け等がでてくるので特に辛いものになります。
逆に普段は学校を嫌がるのに行事は気にしない不登校生もいるので、本人の意思を尊重してあげてください。
本人が悩んでいる場合は、先生に色々な配慮をしてもらえうように親から依頼しましょう。例えば、修学旅行であれば、班分けやバスの座席の位置を考慮したり、宿泊をの部屋を先生の近くにしたりしてくださることがあります。
卒業アルバムについて
卒業の年になると、学校とやりとりすることが進路以外のことでも出てきます。卒業アルバムもその一つです。
卒業アルバムについては、どういう経緯や人間関係の中で不登校に至ったかによって、子どもの気持ち亜大きく異なります。子どもが「撮りたくない、載せたくない」と言った場合は、その気持ちを尊重しましょう。
アルバムの購入も、子どもが強く拒否する場合は学校にその旨を伝えましょう。
卒業式について
卒業アルバムと同様に卒業式も、それがどんな意味を持つのかは一人ひとりの不登校の事情やその子の心の状態によって異なります。なかには、卒業式への参加はもちろんのこと、卒業証書の受け取りさえ強く拒む子どももいます。親としては、区切りだからとおもってしまいますが、基本的には子どもの意思を尊重してあげてください。
ただ、子どもの頭には思い浮かばない方法や配慮が可能な場合もよくありますので、まずはどんな選択肢があるのかを先生に相談してみるのがよいと思います。ゆーくろっくの利用者は、卒業式を以下のように過ごしていました。
- 卒業式だけふつうにほかの子どもと一緒に参加した。
- ほかの子どもとは別に、保護者席の後ろの観覧席で参加した。
- 母親だけ式に出席し、終了後に母親が校長室で祝福の言葉とともに卒業証書を受け取った
- 卒業式とは別の日に親子で行き、校長室で先生方が歌を歌ってお祝いししてくれた
- 家庭訪問という形で、先生が卒業証書を届けてくださった
最後に
不登校の時の友だちや先生や学校との関わり方は、基本的に子どもの意思を尊重すべきです。ただ、自分にどういった選択肢が与えられているのかを子どもが必ずしも分かっているわけではなく、そういった選択肢は、事前に親が先生や友だちと相談して洗い出してあげると、不登校の子どもはとても助かると思います。
たとえ、学校に行くことはできなくても、先生や友だちとのやりとりや関わりが、不登校生の心の中に温かく残ることはあります。それによって少し前向きになれることもあるはずです。
だから、最後まで子どもが学校に行けなかったとしても、親の色々な努力は決してムダなどではないということをご理解ください。