不登校生のおすすめ受け入れ先
不登校生おすすめ受け入れ先
(地域別)
学校の種類別の概要と見方
不登校の受け入れ先① 全日制高校
◆ 学校概要
朝8時30分前後から午後4時半程度までの日中に学習する高校のことです。学年は3年生までと定められており、授業は1日に5時間から7時間程度行われます。一般的に高校といえば全日制高校を意味して使われる場合が多いです。
中学は義務教育なので、欠席日数がどんなに多くても学校側がなんらかの形式で進級を認める場合がほとんどですが、高校は成績や出席日数が基準に満たなければ留年になります。よって、高校での不登校は、中退や通信制高校への編入につながる場合が多く、日本全体でみると入学者の約8%がそうなります。
◆ 受け入れ先としての見方
同じ全日制の高校でも、校風や教育内容にはかなり差があります。不登校生の場合は、厳しい規則、画一的な学習内容、点数主義の教育が合わない場合が多いので、自由な校風で、多種多様な教科・講座・活動が用意されており、テストの点数を重視しない学校が、受け入れ先として望ましいです。また、環境を変えてリセットしたい子どもや、親元を離れたい子どもは、全寮制の学校を受け入れ先として選ぶのもよいと思います。
公立高校の場合は、中学での出席日数が少なくて内申点が低く、合格が難しい場合が多いですが、なかには不登校生の受け入れを考慮し、入試当日の結果のみで合否を判定する受験制度(オープン入試等)を設けている学校もあります。まずはホームページで調べましょう。
不登校の受け入れ先② 定時制高校
◆ 学校概要
定時制高校とは、夜間などの特別の時間帯や特定の季節において授業を行う高校のことです。に、昼間仕事に就き、終業後に夜間に学校に来て学習する生徒のために作られた課程のため、基本的には夜間に授業が行われる場合が多いです。
授業は一日に4時間程度行われる場合が多いが、中には6時間程度行われている定時制高校もあります。これは、学校によって4年制と3年制のどちらを選んでいるかが異なるからです。全国でみると、4年制の定時制高校756校、3年制の定時制高校は153校です。
◆ 受け入れ先としての見方
定時制高校は、不登校生の受け入れ先としては、非常に良い選択肢の一つです。理由は二つあります。一つは、不登校経験があっても気の合う仲間ができる確率が高いからです。過去には日中に働かざるを得ない子どもが通うことが多かったのですが、今では不登校生の進学先・受け入れ先になる場合が多く、同じ経験をしているからこそ分かり合えたという話をよく聞きます。自分の存在を快く受け入れてもらえたという元不登校生がたくさんいます。
もう一つの理由は、不登校経験者を受け入れることが多くなってきたので、学校側もそれに配慮し、多様な時間帯の学習機会を設けていることです。具体的には一日を2~4部にわけて、本人が行きやすい時間帯の部を選ぶことができます。不登校を経験していると、生活リズムが崩れていて、最初は朝からスムーズに行けない場合もあるので、非常にありがたい受け入れ対応です。
不登校の受け入れ先③ 通信制高校
◆ 学校概要
通信制高校とは、家にいたまま通信教育によって学習を進める高校のことを意味します。最初は、働きながら学びたい子どものために作られたのですが、近年は不登校生の受け入れのために作られることが多いです。
具体的には、「レポートと呼ばれる与えられた課題を郵送で提出し、添削されたレポートが返送される」という形態で学習を進めます(最近はタブレットで行う高校もあります)。また、月に数回だけ面接指導(スクーリングと呼ばれます)があり、その時は校舎に行って指導を受けます。学年という概念はなく、単位制です。
複数の都道府県にまたがって生徒が在学する広域通信制とよばれる通信制高校は、夏休み時期などにまとめて合宿形式で面接指導を行うこともあります。
◆ 受け入れ先としての見方
通信制高校は、不登校の中学生に最も多く選ばれている進路・受け入れ先だと思います。なんとか全日制の高校に進学したものの、なじめずに通信制高校に編入する場合も多いです。しかし、通信制高校を不登校生の受け入れ先として選択する場合は、正しい情報を得て良い学校を選ぶことが特に求められます。
なぜならば、自学自習のシステムなので、先生に管理してもらうことやすぐに質問させてもらうことができず、友だちと一緒に頑張ることもできないので、中々学習が進みにくいからです。通信制高校の中には、サポート校(学習支援を行う場所で、学校に付属している塾のようなところ)を各地域に設けている場合が多いですが、サポート校の利用は別料金なので、金銭的負担が大きくなります。
また、通信制高校の卒業生の半分以上は、進学先や就職先といった進路が卒業時に何も決まっていないということが、文部科学省の学校基本調査の中で出ています。
よって、子どもをひきつける多種多様で魅力的な学習が用意されていて、サポートが手厚い学校が、不登校生の受け入れ先としては望ましいです。また、サポート校やサテライトキャンパスを利用するよりも、身近に本キャンパスがある通信制高校を受け入れ先に選びましょう。
参考:中学・高校の不登校経験者も通信制高校なら大学受験・進学できる?
不登校の受け入れ先④ 高専
◆ 学校概要
高専(高等専門学校)は、主に工学・技術系の専門教育・職業教育を施すことによって、実践的技術者を養成することを目的にした5年制の学校です。求人倍率は、普通の高校や大学を毎年大きく上回っており、就職率はほぼ100%になっています。
2014年時点で学校数は全国で53校あります。中には高専のない都道府県もありますが、大体は各都道府県に一校あります。(高専の一覧はこちら)
◆ 受け入れ先としての見方
高専は、ロボット、飛行機、船、車などが好きで、それに関わる仕事がしたいという明確な意思がある不登校生にとっては、非常に良い受け入れ先です。しかし、その場合を除いては、不登校生に適した受け入れ先にはならないでしょう。
高専の5年間の授業時間数は、高校と短大を併せた時間数を大幅に上回り、大学工学部の専門科目の総時間数をも若干上回っ
ています。その分、普通の一般教養科目の時間は極めて少ないです。明確な意思があり、工学・技術分野に楽しみを見いだせる不登校生にとっては、魅力的な受け入れ先ですが、そうでない不登校生には厳しいでしょう。
不登校の受け入れ先⑤ 専門学校
◆ 学校概要
専門学校とは職業教育に近い専門課程を学ぶ学校であり、主な分野としては、医療、介護、美容、ファッション、デジタル、芸能などが挙げられます。ただ専門的な職業教育だけでなく、実生活に必要な一般教養課程を設けているところがほとんどです。
職業技能が身に付くこともあり、例年の就職率は大学よりも高いです。卒業までの年数は各学校や課程においてバラバラですが、最低一年以上と法律で定められています。
◆ 受け入れ先としての見方
専門学校は、中学卒業時点でなりたい職業ややりたい仕事が明確に決まっている場合は、不登校生にとって良い受け入れ先と言えます。大半の同級生とは異なる道を歩むことになりますが、学校で学ぶことが何に役立つのか、何につながっているのかが中学までの学校教育よりもはっきりしているため、中学まで不真面目と思われていた子どもが一生けんめいに取り組むこともよくあります。
デメリットとしては、大手企業の総合職採用などでは募集要項に専門学校生を含めない場合が多いです。また、学んでいる職業が、平均収入は決して高くはない場合は多いです。それでも、普通科に進むよりも自立意識が高いため、精神的にいち早く成長していくでしょう。
不登校の受け入れ先⑥ フリースクール
◆ 学校概要
フリースクールとは既存の学校教育が合わない、学校に行きたくない子どもたちを受け入れて、安心して過ごす場所を提供することを目的にした施設です。規模や活動内容はさまざまで、民家やマンションの一室を借りたような小さな受け入れ先から、在籍数が100人を超える大きな受け入れ先まであります。一般の学習塾が不登校の子供を受け入れてフリースクールと称する場合もあります。
活動内容もスクールごとによって完全に異なります。スタッフが教師のようにふるまい、学校のように勉強と規則正しい生活に取り組むところもあれば、各自が自由に好きな事をして過ごすスクールもあります。
◆ 受け入れ先としての見方
フリースクールは、これまでは小中学生の不登校生の受け入れ先でした。しかし、近年は高校生の受け入れを行っているスクールも増えています。
受け入れ先としてどうなのかという点については、スクールによって規模も活動内容も雰囲気もまったく異なるので、個別に見学に行き、説明を受けて判断するしかありません。
また、2015年11月現在、フリースクールや家庭学習も義務教育として認められる法案の準備が国会で進められており、2016年の年明けから審議されることになっています。それが可決されたら、不登校生にとっては非常に良い受け入れ先になるでしょう。ただし、スクールによって受け入れ先としての質が大きく異なるので、きちんと調べて選択することを忘れてはなりません。
最後に
不登校生にはたくさんの受け入れ先が用意されています。我々の時とは、社会の状況や進路の選択肢が異なるので、親は進路に関しては、あくまで参考意見を述べたり、選択肢を提示することに留めておくべきです。子どもが決めた道を応援すること、挫折した時に受け止めてあげることが、今の親の役割ではないでしょうか。
どうか、まわりと同じ道を歩むことや、自分たちと同じ道を歩ませることにこだわらないでください。子どもの進路で悩んだら、ぜひ、いつでも我々ゆーくろっくにご相談ください。