無気力タイプの不登校の特徴と対応
無気力タイプの不登校とは、学校生活や自分の人生に対して、やりがいや楽しさをなんとなく感じることができず、不登校になってしまうタイプを意味します。高校入学後の早い時期によく起こるタイプですが、精神的に大人びている小中学生にもよく見られるタイプです。
特徴としては、元々学校生活には意欲的でなかったり、休みが少し多かったりします。
まじめで落ち着いている子どもが多く、基礎的な学力も十分に備えていることが多いですが、実際にどれくらい熱心に勉強に取り組んできたかは様々です。
無気力タイプの不登校対応において大事なこと
そのままほうっておくと、長期的なひきこもりになる可能性が高くなるので、早期に対応しましょう。特に高校生の場合は、学校を辞めて進学・就職・アルバイトもしないか、学校に在籍したまま卒業しないという形になり、社会から孤立するおそれがあります。
まずは、子どもが無気力になっている背景・原因を考え、可能な限り無気力を引き起こしている環境を変えるようにしてください。
無気力になる理由で多いのは、「両親の不仲や離婚を見て、人生が無意味なものに思えてしまう」、「長年の親による厳しいしつけの結果、意欲が失われて何もやる気がおきなくなる」、「挫折や失敗を繰り返し、自分はがんばっても意味がないと思ってしまう」といった内容です。
親が子どもの状態を「怠けている」「甘えている」と捉えると、子どもの状況はますます悪化します。
子どもの気持ちをしっかり理解して寄り添うとともに、無気力になった要因をできるだけ緩和していきましょう。そして、本人が認められる場面や成功体験を多く作ってあげ、自己肯定感や自分への自信を持てるようにしましょう。
無気力タイプの逃避期 - 特徴と対応 -
特徴 なんとなく元気がないまま、自分の気持ちを語らずに不登校になる
なんとなく元気がなくなり、学校を休みがちになります。
最初はまじめに学校生活を送っていますが、次第に勉強に身が入らなくなり、部活動などにも参加しなくなります。成績は下降線をたどり、無気力になっていきます。友だちはいますが、当たり障りのない関係であることが多いです。
家族や家庭訪問に来た先生を拒絶することはありませんが、自分の気持ちはあまり語りません。「ほっといてほしい」といったことを言うことが多いです。
対応 子どもの無気力の原因を取り除き、好きなことを応援しよう
まずは子どもの気持ちを理解し、不登校を休むことを認めてあげましょう。その上で、どんな気持ちなのか話を聞いてみましょう。
「ほっといてほしい」と言われることもあると思いますが、「気が向いたら話してね」と言い、定期的に話を聞いてみましょう。無気力を引き起こしている環境や背景がわかったら、極力取り除いてあげるようにしてください。
また、お子さんの興味や関心のあることの話をし、本人の意欲を引き出しましょう。不登校であることは気にせずに、好きなこと、得意なこと、興味のあることは、どんどん応援してあげてください。ほめてあげてください。
可能であれば、学校に行くことを友だちに誘ってもらうのもよいと思います。
無気力タイプの苦悶期 - 特徴と対応 -
特徴 人と距離をおくようになり、不登校の改善はまったく進まない
夜更かしが増え、ひどい場合は昼夜逆転の生活になり、生活リズムが乱れていきます。
表情は暗くなり、自室に閉じこもって全く外出しなくなります。家族とは必要最小限のことしか話さなくなり、特に男女ともに父親との関係性が悪化する場合が多いです。
家の中では自分の趣味や、ゲーム、ネット、マンガを楽しんでいます。仲の良い友だちとも会いたがらなくなります。ただ、ひどく落ち込んだり傷ついているわけではなく、あくまで無気力で疲れているようにまわりには見えます。
対応 不登校でも、子どもが周囲とのつながりを保てるようにしよう
今の状態に理解を示し、不登校を受け入れましょう。
先生の訪問や友だちからの誘いには、親として感謝の気持ちを示して歓迎し、子どもが周囲とのつながりを保てるようにましょう。ただし、本人が会おうとしない場合は意思を尊重し、次にまたきてもらう約束を一旦してください。
学校・進路・日々の過ごし方・イベントなどを提案してみましょう。なにか反応があれば、子どもにすすめてみましょう。その場では興味を示さなくても、あとから興味を示すこともあるので、気にせずに提案してください。
高校生で、この時期が長くなり進級の見込みが立たなくなった場合は、親から子どもにそのことを伝え、休学を勧めるなどして、本人の葛藤を和らげてやりましょう。
無気力タイプの休息期 - 特徴と対応 -
特徴 表情が少しずつ明るくなり、前向きな姿勢になっていく
生活のリズムが少しずつ改善されて、家族と一緒にいる時間も増えていきます。表情も少しずつ良くなります。
友だちから誘われると、一緒に出かけたりして楽しく過ごせるようになります。家庭訪問に来た先生とも嫌がらずに話ができるようになり、行事に誘われると前向きに考える姿勢を見せることもあります。
休学中の場合、勉強や進路について調べたり、アルバイトに興味を示したりします。出席日数や進級のことを気にして、学校に行こうという気持ちを見せる場合もあります。
対応 不登校であることを気にせずに励まし、応援しよう
子どもが周囲とのつながりを強く、広くできるように、友だちからの誘いや学校の先生の家庭訪問を歓迎していきましょう。
本人の得意なこと、好きなこと、興味のあることは、どんどん応援しましょう。そういった取り組みにおけるがんばりをどんどんほめて、自己肯定感や自信を育んでください。
また、お手伝いを頼み、子どもが家の中での役割や居場所を感じられるようにしましょう。
つまずくことがあってもいいこと、色々な選択肢があること、自分らしくいてほしいことを、伝えてあげてください。そうした応援が、なにより子どもの力になります。
進級の可能性がある場合は、本人に対してまだ十分大丈夫であることを伝え、安心感を与えましょう。
無気力タイプの回復期 - 特徴と対応 -
特徴 周囲の呼びかけに応じながら、不登校を乗り越えていく
学校の先生や友だちの呼びかけに応じながら、少しずつ学校に行けることが多いです。
これからのことについて、先生や親とじっくり話ができるようになります。ただ、誰にも相談せずに自分一人で、復学、進路、アルバイト、留学、就職といった自分の道を決めて、事後報告してくる場合もあります。
生活リズムは完全に改善され、表情は一番苦しかった時期と比べると明らかに良くなります。
不登校になった自分を客観的に見れるようになり、まわりに不登校の理由をきちんと説明できるようになることが多いです。
対応 今後のことを親子で一緒に考え、支えていこう
子どもにとって良い目標を一緒に考え、日々の努力を認め、励ましていきましょう。好きなこと・得意なこと・興味のあることはどんどん応援しましょう。
学校に戻りたいと思っている様子が見られたら、学校の先生や友だちに呼びかけてもらえるようにお願いするのがよいです。
欠席日数が多くて進級の可能性が少ない場合でも、復学を進め、一緒に進路を考えましょう。勉強の遅れを取り戻す必要があれば、本人の希望を聞いた上で、塾や家庭教師の利用を検討しましょう。